9.ゴージャス・フルーツ・プラッター
午後はまたウォンガリンガのプールで過ごした。
ここ何日かの間に子供たちの遊泳技術は格段に上がったような気がする。
相変わらずフォームは滅茶苦茶だが、カナもレナももう1.8メートルの深さをものともしない。
自由自在に泳いでいた。
今日はお昼を食べ損ねたし、さっき切りかけたパパイヤもあったので、フルーツプラッターを作ることにした。
プールサイドは一応ガラス・陶器厳禁だから、プラスチックのトレイにあるだけフルーツを切って乗せる。
それからプラスチックのコップにトロピカルワインをそそいで、部屋からプールへ降りていった。
荷物を運ぶので外壁に取り付けられた階段を登ったり降りたりしていたら、ドアを開けたお隣さんとぶつかりそうになってしまった。
「ハロー」
「ハワユー?」
お隣さんは中年の女性三人組。
いつも朝からバルコニーでバスローブ姿のまま煙草をぷかぷか吸っている様子がよく見える。テーブルには常にワインの瓶やグラスがおいてあり、昼間は外出して夜遅く戻ってくることが多い。
何だか毎日お気楽な感じがいい。
女三人であんなリゾート生活も楽しかろう。
山盛りのゴージャスなフルーツを見てパパは一言。
「リゾートホテルのプールサイドでこんなの頼むと数十ドル取られるぞ」
なかなかいいでしょ。
あとはこのワインの入っているグラスがプラスチックじゃなくて、ちっちゃな傘の付いているトロピカルカクテルなら完璧だ。