8.バリン湖のデボンシャーティー
時間は12時半で、そろそろお腹が空いてきた。
「バリン湖ティーハウスで軽いランチにしたい」と私。
「いいよ、で、何を頼むの?」
もちろんデボンシャーティー。
ところでこのときまで私はデボンシャーティーが何であるか知らなかった。
紅茶の種類かと思っていた。
実はデボンシャーというのは英国の地名で、デボン(Devon)州を指す。
そこで伝統的に作られてきたタイプのクリームを使ったスコーンと、お茶のセットをデボンシャーティーと称するらしい。
バリン湖のデボンシャーティーはバリン湖ティーハウスを創設したカリー一族が1920年からスペシャルメニューとしてお客さんに出しているもので、今やこの湖の名物の一つだ。
「私とレナはこのデボンシャーティーでいいよ。パパとカナはサンドイッチにしたら?」
レナは私に似て甘いもの大好き。カナはあまり甘いものを好まない。
デボンシャーティーとサンドイッチを一つずつ注文した。