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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

18.動物たちのディナー




 次は犬と豚のディナーだ。
 よく吠える白い犬はフレンチブルドッグの雌でゲスという名前だった。
 今まで気が付かなかったが、隣の柵の中に、子豚と一緒にもう一匹の犬がいて、こちらはゲスの姉弟で雄のジャック。ジャックはあまり吠えない。

 シンディにおいでと言われてカナとレナが車庫に駆けていくと、彼女は何か大袋に入った白い粉を取り出した。
 それをみんなでバケツに移す。
 手が粉で真っ白になってしまい、レナは嫌がって逃げてきた。
 粉を入れ終わるとバケツをホースの所に持っていき、今度は水を入れてかき回した。
 「これは犬のディナー。ゲスはミルクをとっても愛してるの」とシンディが言う。
 ということはあの白い粉はスキムミルクのようなもの?
 ロッキーとカナがぐっちゃぐっちゃと手でかき混ぜている。
 犬って肉とかドッグフードとか食べて骨をかじるのかと思っていた。
 ミルクを愛してるったって舌でなめる程度じゃないの?
 大きなバケツ一杯のミルクをざばっと全部ゲスの前の箱に移すと、驚いたことにゲスは顔をつっこんでごくごくと飲み始めた。それも凄い勢いで。
 あっと言う間にミルクが半分ほどに減ってしまったのを見てパパも目を丸くした。まさかあの大量のミルクが犬一匹分とは。
 「さあ、今度はジャックの分も作るわよ」
 カナももう嫌がるかと思ったらとんでもない。喜々としてとんでいき、ロッキーと一緒にミルクを作っている。
 やっぱりカナの方が何事にも順応力があるようだ。
 


ゲスはよく吠えるが、ジャックは聞き分けが良い
奥の方に子豚もいる
犬のミルクを作るカナとロッキー
カナはすごく楽しそうだった


 子豚にも餌をやり終えて、これで仕事は一段落。
 ロッキーは今度は子豚にまたがっている。子豚は柵の中を逃げ回るが面白がって追い回している。
 シンディがカナとレナに柵の中に入るか聞いた。
 ふんふんと鼻を寄せてくる子豚や犬のジャックが怖いらしく、カナもレナもうんと言わない。
 端で見ていたセイラが柵を乗り越えて中に入った。
 セイラの服装はピンクと白のボーダーのセーターと、デニムのミニプリーツスカートで、どう見ても動物の世話をする感じではないが、雨でぬかるんだ農場をうろうろしていても裸足の足の裏以外はまるで汚れていない。
 私だったら綺麗な服を汚しちゃいけないから、農場に来る前に部屋で汚れてもいい服装に着替えてきなさいと言うところだ。
 不思議とセイラが着ていると農場でもミスマッチでない。
 対するロッキーはTシャツにだぼっとした短パンと、いかにも汚しても良い服装で、実際に子豚や犬と戯れているうちに、こちらは見事に泥だらけになっていた。

 一人ずつ柵によじ登って出てくる。この柵には出入り口というものが無いらしい。
 最後にセイラが降りようとしたら、ぐらりと揺れて柵が手前に倒れた。
 ・・・
 ああ、吃驚した。
 ほとんど立てかけてあるだけみたいな作りなんだもの。適当といえば適当。
 よいしょ、となおして、ぱんぱんと手を叩いてそれでおしまい。
 みんな笑っていた。




2-19.エキサイティングで得難い今日のファームステイ体験を振り返って


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