ポートダグラス楽園日誌2004 6-5


5.船酔いパパのグレートバリアリーフ戦歴

 一通り説明が終わり甲板に出てみると、いい場所は全てイングリッシュの説明を聞いていたオージーたちに占拠されていた。すみっこしか残っていない。
 まあどうせ甲板は危険なので子供たちを連れてはなかなか行かれない。
 ヨットは平たい大型クルーズ船と違ってかなり揺れが激しいし、甲板は段差が無く、転びでもしたらあっと言う間に転落して魚の餌だ。
 一階の後部に陣取った。
 さっきの説明でも、そこが一番船酔いしにくいと言っていた。
 酔ったときは間違ってもトイレに行ってはいけないのだそうだ。臭うと益々吐きたくなるし、トイレが詰まると迷惑だからだ。
 紙袋を用意してあるので、それで始末してくれと言われた。袋は水に溶けやすい材質で作られており、処理後、海に撒けば、魚の餌付けショーが見られるかもなんてブラックな冗談まで付いていた。


日本語の説明は船室で、英語の説明は甲板で行われるため、説明が終わって甲板へ移動しても、良さそうな場所は全て英語圏の人々に占拠されているのであった


 そう、パパは船酔い体質。
 可哀想なくらいだ。
 でも本人、それでも毎回グレートバリアリーフを楽しみにしているのだ。
 楽しみにしていながら、船の上ではいつも死にそうな顔をしている。

 GBR最初のクルーズは、ヘイマン島からホワイトヘブンビーチだった。しかし既に往路でヘルを見た彼はヘブンに着く頃は真っ青になっていた。
 その旅行中、次の滞在先ケアンズで彼は酔い止めを買い求めた。パッケージに生姜の絵が描いてある薬だった。次に乗るエイジンコートリーフ行きでそれを使ったが、日本の薬と違って効きが今ひとつだった。やはり地獄は免れなかったようだ。
 アーリントンリーフに行ったときのことはよく覚えていない。でもまた酔い止めを持参せず、懲りないなどという話をした記憶はあるので、やっぱり辛かったのだろう。
 去年のロウアイルズでも同じだった。増してこれは今回と同様、帆船カタマランだったので揺れも激しかった。
 帰りの船の中など真っ青だった。船室にこもって出てこなかった。
 自慢じゃないけど、乗り物という乗り物で酔いを体験したことのない私には、どうにもその苦労はよく判らない。

 「そう言えば今年はちゃんと酔い止めを持ってきたよね。飲んだの?」
 「ちゃんと時間を計って出航30分前に服用した」
 「気分は?」
 「今のところは大丈夫」


6-6.オーシャンスピリット・クルーズへ続く


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