そう、パパは船酔い体質。
可哀想なくらいだ。
でも本人、それでも毎回グレートバリアリーフを楽しみにしているのだ。
楽しみにしていながら、船の上ではいつも死にそうな顔をしている。
GBR最初のクルーズは、ヘイマン島からホワイトヘブンビーチだった。しかし既に往路でヘルを見た彼はヘブンに着く頃は真っ青になっていた。
その旅行中、次の滞在先ケアンズで彼は酔い止めを買い求めた。パッケージに生姜の絵が描いてある薬だった。次に乗るエイジンコートリーフ行きでそれを使ったが、日本の薬と違って効きが今ひとつだった。やはり地獄は免れなかったようだ。
アーリントンリーフに行ったときのことはよく覚えていない。でもまた酔い止めを持参せず、懲りないなどという話をした記憶はあるので、やっぱり辛かったのだろう。
去年の
ロウアイルズでも同じだった。増してこれは今回と同様、帆船カタマランだったので揺れも激しかった。
帰りの船の中など真っ青だった。船室にこもって出てこなかった。
自慢じゃないけど、乗り物という乗り物で酔いを体験したことのない私には、どうにもその苦労はよく判らない。
「そう言えば今年はちゃんと酔い止めを持ってきたよね。飲んだの?」
「ちゃんと時間を計って出航30分前に服用した」
「気分は?」
「今のところは大丈夫」