◆◇会津東山温泉巡り◇◆
12.白虎隊墓所
左手は四段高くなっており石で囲われた墓所は線香の煙が上がっている。
やってきた参拝客はみんなここで手を合わせる。私たちも。
墓は鶴ヶ城の方向を向いて作られているという。
それから広場を墓と反対の方にぞろぞろと歩いていく人たちについて、私たちもそのまま進んだ。
幅の狭い急な石段を降りるようになっていて、その下には沢山の真新しい墓石が並んでいた。
墓石の後方には右手を目の上にかざし、遠方を真摯な目で眺める少年の石像。そこがまさに白虎隊が「鶴ヶ城が燃えている!」と市中に上がる炎を目にし絶望して自刃した地であった。
ボランティアなのかやってきた参拝客に説明をする男性が開けた市街地を指さし、「あそこに赤と白の細い鉄塔が見えるでしょう。あれはNHKの施設で、ちょうどその奥が鶴ヶ城です」と言った。
その日ここから見える景色は江戸末期から維新へと変わる時代の会津で、荒れた城下町と耐える鶴ヶ城だったのだろうか。
たとえ本当に城が燃えていたとしても自害を決めたリーダーに誤りは無かったか。
それともそれがその時代の決意なのか。
「その頃、携帯電話とインターネットがありゃあね」
パパ、それは違うと思うぞ。
帰りはとりあえず駐車場で指示された土産物屋に入ってみた。
お菓子類の試食などもあったがあまりほしいと思う品は無く、お酒だけ買って帰ることにした。
沢山並んだ地酒のボトル・・・八重の桜に便乗したものばかり。
「吟醸酒ならぬ便乗酒だな」
誰がうまいことを言えと、とパパがつぶやいた。